10年以上前から企業全体の7割が赤字と言われている中、日本の経営を支える「中小企業」が国内全体の99.7%、従業員数で68.8%を占めます。※日本経済新聞社調べ
製品・サービスも良く顧客も付いていて会社の“利益”は順調に出ているが、何故か苦しい資金繰り。
黒字が続いているなら十分な資金が会社に残りそうですが、なかには“黒字倒産”という現象も起きています。
■原因
①会社損益の計算方法とキャッシュフローが異なる点が挙げられます。「損益」ばかりを見がちですが、キャッシュフローを理解把握して、手元にどれだけのお金が残るのか重要です。
②中小企業の多くが、実は“節税”を知らないだけで多くの税金を取られています。 経営者なら誰でも「利益は出したいが、できるだけ税金は払いたくない」と考えます。
経営者であれば必ず“節税”を意識されるでしょう。
適切な節税を実施しないと無駄に税額が膨れ上がります。例えば以下のような状態ではないでしょうか。
そこで一般的には、経営に関する相談をするとしたら身近な専門家として「経営コンサルタント」「税理士」等、挙げられるのでないでしょうか。
「経営コンサルタント」も「税理士」もお金に関するプロですが、その違いは以下の通りです。
「税のプロ」として、会社の経理を基に税務申告を行ったり、節税対策をアドバイスしたりするのが主な仕事。
また、「税理士」が具体的な節税のアドバイスを積極的に行ってくれないケースが多いです。 あったとしても当たり障りのないアドバイスだけです。
■理由
①本来の仕事は「適正申告」「適正納税」ですし「税務調査」に入られた場合も考慮して余計な仕事は増やしたくない。
②「業界」による独自ルールもあり対応が困難。例えば独自の課税が行われたり、逆に非課税制度が設けられている。
など、税理士から節税の提案があまりないのはこうした理由があります。
実際問題として節税方法は教えますが、毎月の会計監査時に経営者不在が8割が現実で、資金繰りにならないと顔も出さない状況で改善はされないです。
会社の経営分析を踏まえて、将来に向けた事業戦略や必要なシステム構築など、あらゆる分野に関する提言・アドバイスを行います。 顧客のニーズに合わせて、事業再生・資金調達・マーケティング・人事などあらゆる面の対応力が必要なので、多額のコストがかかりますが、依頼企業と合致していれば業績向上に繋がるでしょう。
しかし「経営コンサルタント」とは名ばかりで、知識・スキルが伴っていない会社に対して顧客ではなく自社利益を優先し、作業に見合わない高額のコンサル費を請求するケースもあります。
中小企業の社長は、「コンサルタントを入れれば安心」と実際に実行しないで、達成できない場合はコンサルタントの責任にする社長が多くいます。その結果、適正なコンサルアドバイスを行っても提案通りに行かないケースが多く絵に描いた餅となり経費の無駄使いで終わるケースも多く見受けられます。
世の中に存在する大企業が、全く法人税を支払っていないという事実を知っているでしょうか(全ての大企業ではない)。
一般的には、法人税率は30%前後ですが、 中央大学の発表によると実質税負担率は下記のようになっています(「税金を払わない大企業リストの公表」より)。
三井住友ファイナンシャルグループ | 0.002% |
---|---|
ソフトバンク | 0.003% |
みずほファイナンシャルグループ | 0.1% |
三菱UFJファイナンシャルグループ | 0.31% |
中小企業の場合は節税知識を持っていないケースが多く節税対策が出来ていない場合が多いです。
よって、法人税率は30%ほどになっています。相続するときは最高税率の55%に該当します。
節税の方法は保険・決算賞与・交際費・備品購入など、ほとんどは資金の流出によって行われます。 翌期以降に事業で必要となる支出であればかまいません。しかし、節税になるからと積極的な支出をすれば手持資金が減少し、経営の安全性が損なわれます。
特に「保険」は節税効果が大きいからと手を出す方がいますけど、それだけ保険料の支払も大きいので要注意です。
■保険をお勧めするメリット
つまり「損金処理が可能」でありながら、「解約返戻金」があることが、生命保険で節税できると言われる所以です。
解約返戻金とは・・・
「あなたが先に払っていた保険料(掛金)に、利息をつけて保険会社がお返しするもの」
「10年間位は1億円の保障が必要だ」と考えていたとします。60歳で10年間1億円の保障を購入(加入)すると・・・
定期保険
80万円/年×10年=800万円(全額損金)
逓増定期保険
800万円/年×10年=8,000万円(1/2損金)
掛捨て保険なので、10年後の解約返戻金は無い(0円)です。
(A)保険支払額 | (B)解約返戻金 | 割合 | 自己負担(10年) | 自己負担(1年) |
---|---|---|---|---|
8,000万 | 7,840万 | 98% | 160万 | 16万 |
たった年間16万で「1億」の保障が手に入る
保険支払額 ※1/2 損金計上 |
税率 | 税効果 1年 |
(C)税効果 10年 |
---|---|---|---|
400万 | 0.34 | 136万 | 1,360万 |
10年で「1360万」の税効果
(B)7,840万+(C)1,360万=9,200万
実質返戻率=9,200万÷8,000万×100=115%
実質的には総支払保険料以上の金額が戻ってくるという結果になります。
加入時に「これで安心だ」となるのではなく、計画的な事業計画(資金計画)が最も重要になり、
キャッシュアウト(事業投資など)する時期に、キャッシュイン(解約)することが大切です。
しかし融資する立場の銀行からすると過度な節税は評価できません。銀行融資を考えると絶対に避けるべきです。
なぜなら損益計算書を見れば、利益が減少しますから返済能力が悪化しますし、貸借対照表を見れば、現預金の減少、純資産が増えない問題があるからです。
利益を出したほうが返済能力や安全性が改善し、自社の格付けが改善されますから、銀行からの資金調達にはプラス効果となります。
銀行は融資先企業ごとに格付を行っていますが、損益計算書の利益と貸借対照表の純資産は、企業格付で特に重要な評価項目です。
資金調達と節税は考え方が全く逆といえます。
企業によって状況は異なりますが、これからも銀行融資が不要ならいくら節税してもかまいません。
しかし、事業を行っていくうえで銀行からの資金調達がこれからも必要であるならば、資金調達の成功可能性を引き上げるためにも、行き過ぎた節税は行わないほうがいいです。利益を出すことによって税金は発生しますが、銀行から資金調達するための必要コストと考えたほうがいいでしょう。
中小企業の多くは手持資金が潤沢ではなく、純資産がマイナスやプラスであっても少額であることが非常に多いです。いざという場合の安全性が低いのです。
これでは多少でも経営が悪化した場合に、銀行からの資金調達にも悪影響が出ます。仮に融資は出たとしても担保や保証を要求されたり、金利などの条件が悪化したりする可能性があります。つまり経営が多少悪化した程度では資金繰りに問題がない、いつでも容易に資金調達ができる企業にしていくことが必要です。
自己資本比率30%以上、手持資金が月商で最低でも3ヶ月以上、理想的には6ヶ月以上の目標設定を目指すといいでしょう。それらをクリアしている程度の企業であれば、取引銀行からも高い評価を受けているはずですから、節税対策を実行してもいいと思います。
利益が出る企業の多くは節税の提案を受けるかもしれません。しかし、まずは銀行からの高い評価が得られる決算書にして、資金繰りの安定化を目指すべきだと考えます。
中小企業が存続することこそ、日本の社会にとって重要です。多くの中小企業が元気で頑張るからこそ、社会が活性化するわけです。そこで節税を本気で考え、自分の会社を存続させ、より大きな利益を得ることで社会に還元していくことを考えましょう。もちろん、「節税=無駄に経費を増やす」ことではありません。会社の将来を考えながら、節税をしていく必要があります。
このように本質的には企業が「儲かって潰れない」「利益を出してお金が残る」のが本来の使命のはずですが、それができていないケースが多いのではないでしょうか。会社にとって本当に必要な経費は払うべきですが、無駄な経費は1円でも払うべきではない。「税理士」に言われるがままで、よく見えていないのでは?
また、金融機関の言うことを断れない中小企業が多いということもありますが、それに応じたからといって困ったときに金融機関が必ず助けてくれるわけではありません。そのような実情を知っているため、過度な協力はしないなど、対等な関係性をつくる必要があると考えます。
S-Class ではBS / PLを分析して、単に表面的な数字の改善ではなく、具体的にBSの資産価値UP、PLを見て無駄を省きDXで効率化を行う仕組み作りを構築します。